合同新聞朝刊にてコラム掲載しています【第7回】

大分合同新聞の朝刊にて、当院がとりあげられています。
全10回コラムで泌尿器の病気について解説していきます。ぜひ紙面でもご覧ください。

【第7回】血尿、残尿感…膀胱がんかも

(大分合同新聞 2023年5月1日 朝刊掲載)

膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が尿管で運ばれた後、一時的に貯留する袋の動きがあります。この膀胱内の粘膜にできるのが膀胱がんです。原因の一つに喫煙が指摘されていて、喫煙者は非喫煙者の2~3倍なりやすいといわれています。また、化学薬品や染料を扱う職業にも発症率が高いことが知られています。

よく見られる症状は痛みを伴わない血尿です。また、血尿より頻度は低いですが、排尿時の痛み、残尿感、頻尿といった膀胱炎に似た症状があることもあります。

尿道から膀胱鏡(内視鏡)を挿入する膀胱鏡検査で診断します。がんの発生部位や大きさ、おおまかなタイプなどを確認することができます。この他、補助的な検査としては、尿にがん細胞が含まれているか調べる尿細胞診も有効です。

しかし、小さながんでは、尿細胞診でがん細胞と断定できないことがあります。膀胱がんが見つかった場合には、他のがんと同様に、CTで広がりと転移を調べる必要があります。

治療法は、尿道から内視鏡を挿入してがんを電気メスで切除する「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)」になります。切除した組織を調べ、深達度(がんがどのくらい深くまで進行しているか)などを調べます。

膀胱粘膜にとどまっている場合は、表在性膀胱がんと呼ばれます。再発予防を目的に膀胱内に抗がん剤やBCGなどの薬剤を注入することがあります。粘膜にとどまらず、筋層まで進行している場合は、浸潤性膀胱がんと呼び、膀胱全摘術をします。尿をためる機能がなくなるので、尿路の再建(尿路変更)が必要になり、人口膀胱(ストーマ)を作ることになります。

CTで転移を認める場合は根治よりも、進行を遅らせることを目的にした抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤などの薬物療法が中心になります。早期ならば、体への負担の少ない経尿道的手術で治療可能ですが、進行すると治療法も限定的となります。目で見て血の色がわかるような血尿が出た場合は、最寄りの泌尿器科を受診してください。

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