当院では2004年から早期前立腺がんに対する高密度焦点式前立腺がん超音波治療(HIFU; ハイフ)を行っています。 早期前立腺がんの場合、一般的に前立腺を摘出する手術あるいは放射線療法が行われています。 しかし、いずれの方法も体への負担が大きいこと、治療による合併症が少なからずあることなどの問題がありました。HIFUは、コンピューター制御により前立腺に高密度の超音波を照射して早期のがんを治療する先端治療です。 手術治療、放射線治療と比較してHIFUでは次のような利点が挙げられます。

   1. 皮膚や筋肉への傷が「ない」。
   2. 術中の出血がなく、手術治療に比べ安全性が高い。
   3. 短期間の入院による治療。
   4. 勃起障害の発症率が低い。

しかし、まったく問題がないわけではありません。非常に低い確率ですが、重大な合併症として尿道と直腸の間に穴があく尿道直腸瘻(ろう)が報告されています。尿道直腸瘻は治療後数週間〜数ヶ月して発症します。この場合は一時的に人工肛門が必要となる場合があります。 また、保険適応を待っている状況であるため治療費用は全額自己負担となります。



HIFUは超音波を利用して体の深部にあるがん病巣を治療する方法です。前立腺がんの検査や生検の際にで肛門から挿入するのも超音波の器械です。超音波は一般的には検査の目的で使用されていますが、一点に集めることによりその焦点にピンポイントで高いエネルギーを集中することができます。このことを利用して、目的のがん病巣を破壊します。



実際の治療では、下半身麻酔を行った上で、肛門から治療用プローブを挿入し、前立腺の特定の部位に超音波を集束します。プローブから超音波を発振し小さな領域に高密度の超音波を集束することで、その焦点は60〜90度の高温になり、高温にさらされたがんの病巣は破壊され死滅します。この小さな焦点をコンピューター制御により少しずつ前立腺内部を移動させていきます。入院期間は3〜5日間と短期間です。


一般的に早期前立腺がんは治療後の再発の危険性から3群に分けられています。

   低リスク群 ・生検時 PSA 10ng/ml未満
・グリーソンスコア 6以下
・前立腺の左右いずれかにがん
 
※上記3条件全てを満たすもの
     
   中リスク群 ・生検時 PSA 20ng/ml未満
・グリーソンスコア 7以下
・前立腺の両側にがん
     
   高リスク群 生検時 PSA 20ng/ml以上
または グリーソンスコア8以上
     

HIFUの場合も最も良い適応は「低リスク群」で高い根治率が期待できます。逆に「高リスク群」の場合はCTやMRIなどで早期前立腺がんと診断されていても微小転移などのある可能性があるためHIFUによる根治の確率は低くなります。

HIFUは年齢・がんの性状にかかわらず腰椎麻酔が出来る方であれば治療が可能ですが、当院では低リスクの前立腺癌および一部の中リスク癌(注)のみを治療対象にしています。中リスク群以上の場合HIFUでは高率に再発を認めますので、手術療法・放射線療法(3DCRT/IMRT)が好ましいと思われます。

(注) PSA 10ng/ml未満・グリーソンスコア 7でも 3+4 と3が優勢で、生検での陽性本数が1-2本、PSA densityが0.2以下の場合もHIFU治療の対象となる可能性があります。

また、その他にHIFU特有の適応として

・放射線外照射後の前立腺内でのがんの残存・再発
・前立腺摘出手術後の膀胱・尿道吻合部でのがんの残存・再発

などがあります。



保険適応ではないため全額自己負担となります。

治療費用は、80万円+消費税 (初回治療・カテーテル抜去までの全ての診療費用を含む)を負担していただいています。



当院以外で前立腺がんと診断された方でHIFU治療を希望される方は神崎医師の外来をご予約の上御来院ください(他院での検査データが必要です)。


※保険適応となるまでは基本的に積極的な治療を行っていませんが、治療についての詳しい説明をいたします。







    泌尿器科 [大分市 大分泌尿器科病院]